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【ゲーテ:幻冬舎】金持ちオジさん限定ではありません

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ゲーテ、知ってますか? 

ヨーロッパのどこかの国の有名な詩人?そう、18-19世紀のドイツの詩人です。でも日本にはゲーテって雑誌もあるのです!

ファッション誌の棚に足を運ぶ男性であれば、みかけたことがあるかもしれませんね。

 

《目次》

 

「ゲーテ」の由来

ゲーテは「仕事が楽しければ人生も楽しい」がメインテーマの月刊誌です。幻冬舎が出しています。 

由来はもちろん、著作に「イタリア紀行」を遺している旅好きな詩人ゲーテにちなんで。文豪として有名なゲーテは、大の女好きとしても有名なんです。

昔の文豪、芸術家って、女好き、特にロリコンな場合が多い気がしますよね。

そういう意味では、雑誌ゲーテは読者層の40-50代のオジさんからすると若い女性、特に毎号毎号よく集めるなというぐらい美人秘書系の女性が載っています。今月号の表紙なんて、まんま秘書だし。

 

「ゲーテ」のコンテンツ

若い女性ばかり載っているわけではなく、コンテンツはゲーテらしく旅行と、ビジネス、ファッション、時計、レストラン、といったところです。 

特徴は全てがとにかく高級!他の雑誌としっかり差別化できています。

高級なモノに触れたい人にはこれほど感性を刺激する雑誌はないでしょう。時計は300万、400万を超えるものばかりです!

車も買える値段の時計・・・なくしたらどうするんだ!紛失リスク大きすぎて、どう考えても手が出せん!と心で叫んでしまう私、常識人でしょ?

そんな常識人の叫びに応えてか、最近はレストラン特集ばかりな印象です。レストランなら年に1,2回であれば図抜けて高収入でなくとも利用できるので、読者が実体験できるコンテンツに絞ってきてるのかもしれません。

 

毎号の楽しみ「ゲーテの言葉」

 この雑誌、目次の前に「ゲーテの言葉」という1ページの連載があります。1962生まれの作家・道化師 明川哲也が、ゲーテの言葉を引用して、そこに自分の体験や思いを毎号綴っています。

明川さんは今年映画化した「あん」の原作者で、「あん」は道化師ドリアン助川の名義で書かれています。 

この明川さんの文章が、いつも本当に秀逸なんですよ!例えば・・・

友が脳梗塞で倒れた。ステージに立つ私をかつて支えてくれた女性だ。幸い、命に別状はなく、言語機能も失われていない。だが、半身に麻痺が残った。リハビリというしんどい道を彼女はこれから歩むことになる。

新幹線と在来線を乗り継ぎ、彼女が入院している病院まで向かった。山脈を越え、日本海側に入ると一面の雪景色となった。どんな言葉をかけるべきなのか、なにも浮かばなかった頭にそこで一瞬のひらめきが訪れた。

ベッドの上で笑顔を作ろうと努力している彼女に提案した。リハビリの日々を、実に実り多い季節にしちゃおうぜ。アゼルバイジャン語やりなよ。喋れる人は少ないから、できるようになったら素晴らしいじゃないか。

彼女の表情が変わった。そうか・・・あたし、アゼルバイジャン語は興味ないけど、それなら、フィンランド語をやろうかな。

夕暮れ迫る病室で、フィンランドの専門家になったらなにができるだろうと、あれこれ空想合戦となった。痛々しさは消え、夢見る眼差しと笑いがそこに現れた。彼女はおそらく本気で挑戦する。

2014年の号の記事だったと思いますが、私はこれを切り取って財布に入れています。

だって素敵じゃありませんか!どんなところが?

  • 脳梗塞で半身麻痺でできないことだらけなのに、できないことではなく、できることに焦点を当てている
  • しんどい道を歩む人にかける言葉として、ねぎらいや慰めではなく提案を投げかけている
  • マイナーな分野を狙うことは、それをマスターしたときのプレミアム感から、しんどい現状に希望と活力を与えることができる

人って普段から時間がなくて学習できない、インプットの時間がないとか言う割に、いざ時間ができると何もせず自堕落な日々を送ってしまうものですよね。

病気や怪我って、やりたくても今までできなかったことをやるチャンスなんですよ。

もちろん病気や怪我それ自体は不幸なことですが、「入院して動けない」という状況は、長い人生全体からみたら成長の絶好の機会かもしれません。たとえ不幸にして回復の見込みがないとしてもです。

しかも、そのチャンスをマイナーな分野の一流になるために使うなんて最高じゃないですか!

将来の稼ぎになるかも分からず、誰もわざわざ取り組もうと思わないマイナーな学習に、時間がある自分はめいっぱい集中できるんです。本来なら恵まれた環境にある他の人に差がつけられるんです。

ワクワクしませんか?

この女性は、本当にフィンランド語をマスターして、そろそろどこかで活躍し始めるころかもしれません。こういった、読者に思考の転換を促す珠玉の言葉が目次の前に載っているなんて。いやーそれだけでもセンスいい雑誌です、ゲーテ。