引用書店

THE INYOSHOTEN PLUS

書評を中心に、伝えたいことをplus

【波紋と螺旋とフィボナッチ:近藤滋】山吹色の波紋疾走は無駄な知識じゃないーッ

スポンサーリンク

自然にできる模様って奇麗ですよね?

魚とか、虫とか、植物とか。人間がつくったデザインなんて所詮たかが知れてて、神が創造した自然の造形には敵わないなあって。

いやいや待ってくださいよ。何でも分からないことを「神」に落ち着かせたら思考はそこで行き止まりです。思考ストップ、ダメ絶対!キリスト教徒に限らず人間ってそういうダメなクセがある気がします。ニーチェの「神は死んだ」って端的にいえば「自分で考えろや!」ってことですよ。

《目次》

 

模様ができるのもエネルギーの法則

自然の模様を「奇麗だなあ」で済ませず、発生学として探求する1人が大阪大学 近藤滋教授です。

表紙のシマウマの縞、緑色の野菜ロマネスコの螺旋、アンモナイトの螺旋といった自然にできた模様を数学、物理学、生物学的な観点で説明しています。といっても一般書なので難しい数式はほぼ出てきません。語り口もとってもフランク。

例えばシマウマの縞については、「動物の模様を作るのは、波紋(山吹色の波紋疾走)である」という項目でこう書いてあります。

この大胆なアイデアを初めて思いついたのは、もちろん荒木飛呂彦(JOJOの作者)ではなく、イギリスの数学者、アラン・チューリング(Alan Turing, 1912〜1954)である。チューリングは、計算機科学の創始者であり、第二次世界大戦時のドイツ軍の暗号電報を解読した英雄、というとんでもない天才であるが、その天才が、生涯に1つだけ書いた生物に関する論文「The Chemical Basis of Morphogenesis」(1952)で提案したのが、この動物の波を作る原理なのだ。

(中略)

化学反応の組み合わせによる波形成の原理。登場するのは、わずか2種類の化学物質、活性化因子と抑制因子と呼ばれる仮想上の物質である。

活性化因子は、自分自身の合成を促進し、さらに抑制因子の合成も促進する。一方、抑制因子は、活性化因子の合成を止める。

(中略)

ネガティブフィードバック回路は遠距離で働き、ポジティブフィードバックは近距離で、という組み合わせになり、色素細胞の制御ネットワークとまったく同じになるのです。

つまり、ある色の色素細胞どうしが近距離であれば他の細胞を押しのけてどんどん増えますが、逆に遠距離であれば「増えないようにしよう」と口裏を合わせるんです。だからある細胞の塊どうしの縞と縞はつながらず、交互になるのです。こういうフィードバック機構によって黒→白→黒→白、とシマシマ模様になる。縞だけでなく魚の斑点や迷路みたいな模様も同じ仕組みらしいです。

いまいち理解しきれないですか?スミマセンそれはうまく書けない店長のせいです。安心してください。本なら図が満載なのできっと分かりますよ!

 

引用元を書くことは大事です

ところで、マンガ好きな20-30代男性なら「波紋」ときいてまず思いつくのはジョジョですよね?

上の引用のように著者もジョジョにもふれてて、ちゃんと「山吹色の波紋疾走」はジョジョ1巻で主人公が波紋エネルギーを放出するときに叫ぶ決め台詞、と注意書きを入れています。さすが研究者!アカデミアでは引用を丁寧に書かないと誰かの早稲田の博士卒論みたいになっちゃいますからね。