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【死刑執行人サンソン:安達正勝】職業人としての矜持

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フランス国王ルイ16世は首を刎ねられてその一生を終えました。そころで、当時は処刑人も家業の1つだったことをご存知でしょうか?

《目次》

 

処刑人の子が処刑人になる理由

「国王の子は国王になる。それと同じように、処刑人の子は処刑人になる」

処刑人の一族はたとえ別の職業につこうとも、ふとしたことで身元がバレると客がよりつかなくなります。また、処刑人自身が息子たちがほかの職業に就くことを嫌ったそうです。もし息子がほかの職業につけば、息子は必ず処刑人である父親を恥じることになるからです。こうして処刑人の子は処刑人にならざるを得なかったようです。

本著は、フランス革命により失脚したルイ十六世の首を刎ねたシャルル・アンリ・サンソンの実話です。帯は荒木飛呂彦先生!

荒木先生が奨めていることもあって読んだのですが、短編集『死刑執行中脱獄進行中』となんか関係あるんですかね?こっち読んだことないので、もし知ってる方いたら。

つい先日舞台が上演しているってネットニュースでみましたが、さすが荒木ワールド!実写でもアート感が衰えませんねぇ。

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処刑人の矜持

自分たちはたくさんの人間を手にかけてきたが、個人的な激情にかられて人をあやめたことは一度としてない。「九月虐殺事件」に関与した人々には、祖国を、家族を守りたいという気持ちはあったかもしれない。そして、たしかに革命前の世の中は間違っていた。しかし、一時的な、個人的な激情にかられて暴走したことは否定できない。罪ある者も、罪のない者も、ひとからげにごちゃ混ぜにし、大勢の人間を虐殺した人々、この人々は、今まで、処刑台の上で平気で人を殺すといって自分たち一族を呪い、蔑み、忌避して来た人々だ。

自分たちは国王によって犯罪人を処罰することを委任された。しかし、勝手に大勢の人間を虐殺した人々は、何の資格があって人を死に至らしめたのか?これまで自分たちに恥辱を投げつけてきたこれらの人々は、自分たち以上に恥辱に値するということをよく考えてみるべきだ!

自分が死刑執行人の立場だったらどうでしょう?

なかなか想像しづらいですが、ある種のプライド、矜持がなければ生きていけるほど自己を保てないんじゃないかと。国王から与えられた特権、矜持ある家業を「一時的な、個人的な激情」により踏みにじられた・・・これほどの侮辱はないでしょう!生きている理由を侵害されたのです。

しかしサンソンはフランス革命後、皮肉にも国王の首を刎ねることになります。矜持の拠りどころであった国王を自らの手で葬る・・・どんな心境だったのか、本著を読みながら思いをはせてみてはどうでしょう。

 

関連情報をいくつか

少し前に紹介した『歴史手帳』をみてみると、フランス革命ってアメリカの独立、ワシントン初代大統領の就任よりも後だったんですね。欧州のイベントって、中世的な印象を勝手に抱いてしまうからか、実際よりも古い時代のことだと勘違いしがちな気がします。これ日本人だけでしょうかね?

もう1つ関連情報として、『死刑執行人サンソン』はマンガ化されています!題材が史実の歴史マンガって大抵ハズレないです。

 

 

『イノサン』は『孤高の人』を書いた坂本眞一の作品です。孤高の人もめっちゃおもしろいんで、そのうち紹介しようかと思ってます。