引用書店

THE INYOSHOTEN PLUS

書評を中心に、伝えたいことをplus

【ゼロ・トゥ・ワン:ピーター・ティール】独占企業の秘密

スポンサーリンク

今日紹介するのは、言わずと知れたペイパルマフィアの筆頭格ピーター・ティールの著書です。

《目次》

 

ペイパルマフィア

ペイパル創業時のメンバーがペイパル退社後につくったベンチャーがことごとく成功していることから、元ペイパルの起業家たちは「ペイパルマフィア」と呼ばれています。ティールは、ペイパルマフィアの仲間が起業するときには大抵巨額の投資をしているそうです。こういった極狭で密度の高いエコシステムこそが最強なのでしょう。

写真でみてみるとめちゃ怖いです。側を通るとき目は合わせないでおくレベルです。

http://catokichi.com/wp-content/uploads/2014/09/602d14d1fb1a8dc0c030480905fb7e0e-300x205.jpg

「facebook」がついている人がピーター・ティール。Facebook初の外部投資家で、航空宇宙、人工知能等の分野で革新的なテクノロジーを持つスタートアップに投資している投資家です。

 

独占企業が「独占」であることを隠す理由 

ペイパルマフィアの企業リストを眺めると、市場をほぼ独占している企業ばかりなことに気がつきます。でもあんまり野心的な大言壮語を吐かずに、淡々とシェアをもっている印象がありますよね。これって何ででしょう?

街のレストランとか、非独占企業なら当然自社の独自性を強調します。そりゃそうですよね、独自性をアピールしなければ顧客に選んでもらえないですから。一方で、独占企業は独自性を強調してません。誰よりも強力な独自性があって、実際に独占しているのに!

どういうことか?ここでティールはおもしろい例をあげています。

独占企業は、実際にどんな総和のストーリーを語っているのだろう?グーグル会長のエリック・シュミットは2011年の議会聴聞会で、こう証言していた。

消費者が情報へのさまざまなアクセス手段を持つ、極めて厳い競争環境に私たちは直面しています。

平たく言うと、こういう意味だ。

グーグルは大きな池の中の雑魚にすぎません。いつ誰かに飲み込まれてもおかしくないのです。政府に目をつけられるような独占企業ではありません。

つまり独占禁止法でしょっぴかれたら困るほどの膨大な利益が「独占」にはあるから、ということです。

 

独占企業とはどんな企業か

独占は進歩の原動力となる。なぜなら、何年間、あるいは何十年間にわたる独占を約束されることが、イノベーションへの強力なインセンティブとなるからだ。

その上、独占企業はイノベーションを起こし続けることができる。彼らには長期計画を立てる余裕と、競争に追われる企業には想像もできないほど野心的な研究開発を支援する資金があるからだ。

独占 → イノベーションが可能 → 何年、何十年も独占 → 次のイノベーション・・・という図式ですね。納得。

でもこの図式では、次のイノベーションをつくっていかなければ独占企業も危ういということでもあります。

 

独占企業のつくり方

では、独占企業はどうやったらつくれるのだろう?

トルストイは『アンナ・カレーニナ』の冒頭でこう綴った。「幸福な家族はみな似かよっているが、不幸な家族はみなそれぞれに違っている」。企業の場合は反対だ。幸福な企業はみな違っている。それぞれが独自の問題を解決することで、独占を勝ち取っている。不幸な企業はみな同じだ。彼らは競争から抜け出せずにいる。

もっと「これをやったら間違いない!」みたいなものがあると思いました?

ないです。安易な答えを提示しない、さすがティールです。全業種に共通するHOW TOなんてないんです。「幸福な企業はみな違っている」のですから、最も効果のある1点を全力で押し切る以外に方法はなく、押すべきポイントは置かれた環境に因ります。『良い戦略悪い戦略』の記事で書いたことと同じです(関連記事 参照)。

ヒントとして、本著では「10倍優れたものを作る」「規模の経済」等、ピーター・ティール論が展開されます。これらの組み合わせが独占につながると書いています。

しかしトルストイを引いての逆アナロジーは非凡です。ティール、どんだけ当たり前のようにサラッと教養を出してくるんだ。他にもマルクスやシェイクスピアを引き合いに「人は違いがあるから闘う」をビジネス論として書いたりしています。

 

まとめ

独占企業になるべし。そのために独自の問題を解決すること。これに尽きます。

広告を非表示にする