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【ホーキング、自らを語る】仕事で成果をあげて私生活も充実させるたった1つのコツ

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仕事と私生活のバランスについて、どう考えますか?

自分が所属している業界で成果を残すためには、私生活など犠牲にして、がむしゃらに仕事に取り組まなければいけないのでしょうか。

理論物理学という業界で、いや業界を超えて有名になったスティーブン・ホーキングを例に考えてみましょう。

《目次》

 

本著の位置づけ

スティーブン・ホーキングはブラックホール、ビッグバンなど素粒子を扱う理論物理学者です。理論が実地の観測により証明できないためノーベル賞は与えられていませんが、彼の画期的な理論は物理学者の多くに支持されています。

一般書もいくつか出していて、本著は2014年に書かれた最新作です。他の本では宇宙、未来、人間を題材にしていますが、本著は「自分自身」に焦点をあてています。他とは毛色がかなり違う、人生を語った本書こそ、ホーキングが最も書き残したかった本なのかも知れません。

 

仕事を楽しむ

カルテックで私はキップ・ソーンと賭けをして、連星系はくちょう座X-1にブラックホールはないと主張した。

(中略)

負けても悔いのない賭けだった。なにしろ、私はブラックホールの証明にあらん限りの力を注いでいる立場だから、ブラックホールは存在しないとなっては泣くに泣けないが、賭けに勝って雑誌《プライヴェット・アイ》四年分が手に入るならせめてもの慰めだ。キップが勝ったら《ペントハウス》一年分の約束だった。

楽しそうです。だって仕事で賭けをするなんて!研究者とか自営業とか独立した立場でしかできないことでしょうが、何て楽しそうに仕事をするんだホーキング。

一般書をいくつか出して啓蒙するのも、彼が研究を楽しんでいた証拠でしょう。本著でも「地平を突っ切ってタイムトンネルに入ろうとする宇宙飛行士や宇宙船は落雷のような熱放射に打たれて影も形もなく消え失せる」とか「空飛ぶ円盤でやってきた美貌の異星人に手招きされたら用心した方がいい。落とし穴にはまって、短時間とはいえ投げ縄のようにふりまわされることにもなりかねない」とか分かりやすく、キャッチーな表現でタイムマシンと観察者を否定しています。

こうして楽しそうに仕事をしたからこそ、成果もついてきたのです。

 

ホーキングの人生

21歳で筋萎縮性軸索硬化症が発症したホーキングは、その人生のほとんどを車椅子の上で過ごすことになります。

生家での暮らし、戦争、結婚、離婚、息子との確執、再婚、もちろん生涯ついて回る筋萎縮性軸索硬化症というあまりに重い足枷。これらをホーキングが語っているのを読むと、「偉大な研究者でも、私生活に大きな悩みをもって生きていたんだ」「物理学のことばかり考えていたのではなく、人生や生活がまずあって、その人生の合間に楽しく仕事をしていたのだな」と感じられます。業績が伝説的だからといって、すべてを投げうって仕事に人生を捧げたわけではなかったのです。

 

まとめ

「ワークライフバランス」なんて言葉がありますよね。これって「仕事はイヤイヤするもの」が前提になっているみたいで、気持ち悪い考え方です。

あえて冒頭でもバランスと書きましたが、ワークをライフの一部として考えていれば、「バランス」なんて言葉は出てきません。確かに過ごす時間を分けることはできるので、その比率をバランスと表現することは可能です。しかし可能だからといって、それが妥当だとは限りません。

仕事と私生活を相対するものとして二分しないこと。仕事も含め人生を楽しむこと。これが本記事タイトルに対する、ホーキングの人生から学んだわたしの答えです。

 

スティーブン・ホーキングの他の本

ホーキングの一般書第一弾。全世界1000万部、日本だけでも110万部を超えるベストセラー。『ホーキング、自らを語る』では、『ホーキング、宇宙を語る』が筋萎縮性軸索硬化症という個性を全面に出して販促されたことについて当人の所感が語られています。