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【ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学:入山章栄】トランザクティブメモリーとは?

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経営学はあくまで「思考の軸」として使われるべきだと私は思っています。あるいは、羅針盤といってもいいでしょう。

(中略)

羅針盤があるからこそ、それが航海ルートを決めるための軸となり、その上で風を読み、潮の動きを読み、天候を読むことで、経営に最善と思われる方向を見つけ出すことを手助けしてくれるのです。

経営学者 入山章栄の言葉です。経営を社会科学の1つとして研究する入山さんは、経営学は羅針盤だと書いています。経営理論を羅針盤として使い、その上でトレンドを読んで、「天の利、地の利、人の利」(参照:以下の記事)が揃ったときに策を講じるのが経営だいうことです。

inyoshoten.hatenablog.com

 

記事の紹介が遅くなりました。今回は入山さんの著書から引用する「第2弾」です。題材は、2015年11月に発売後すぐ読んだ『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』。それではどうぞ。

《目次》

 

トランザクティブ・メモリーとは

トランザクティブ・メモリーは、世界の組織学習研究ではきわめて重要なコンセプトと位置づけられています。その要点は、組織の学習効果、パフォーマンスを高めるために大事なのは、「組織のメンバー全員が同じことを知っている」ことではなく、「組織のメンバーが『ほかのメンバーの誰が何を知っているのか』をしっておくことである」というものです。

「情報の共有化が重要」とよく聞くから、情報が全員に行き渡っていれば良いのだと勘違いしていませんか?

それだけじゃないんです。「誰がその専門家なのかを知っていること」も重要なのです。この視点で考察してみると、まず自分自身が1つか2つの分野で専門家になり、誰かに必要とされること。そして1つか2つの分野を極めたら、他の専門について誰が詳しいかを知っていれば(who knows what)いいのです。

つまり専門知識だけ深く掘って、あとは浅く知っておいて必要なときに深い人から知識を引き出して使えば良いということ。ネットで調べものをする感覚と似ていますね。検索ワードは重要だけど、ページで表示される内容まで暗記しておかなくてもいいのです。

ゲーテが「考える人間の最も美しい幸福は、究め得るものを究めてしまい、究め得ないものを静かに崇めることである」と言っている通りです。200年も前からネット社会と同じ感覚を持っていた、ゲーテの偉大さを感じます。

 

ダイバーシティへの勘違い

法則1:ジョシたちの分析、ホーウィッツたちの分析のどちらとも、「タスク型の人材多様性は、組織パフォーマンスにプラスの効果をもたらす」という結果となった。

法則2:「デモグラフィー型の人材多様性」については、ホーウィッツたちの分析では「組織パフォーマンスには影響を及ぼさない」という結果となった。さらにジョシたちの研究では、「むしろ組織にマイナスの効果をもたらす」という結果になった。

タスク型とは専門性の違いということ、デモグラフィー型とは人種・年齢・性別など目に見えて分かる違いのことです。これ、結構衝撃じゃありませんか?だって人種・年齢・性別の違う人たちを増やしても影響がないどころか、マイナス効果だって言ってるんですよ。

ダイバーシティがもてはやされてるので思考停止してしまいますが、そう言われたら実感と合っています。やっぱり同じ年齢、性別でワーワーやったほうが議論がしやすく、仕事が前に進みますよそりゃ。本当に使えるダイバーシティは専門性の違いなのです。専門性についてはトランザクティブ・メモリーの考え方がそのまま使えますね。

まとめると、仲間意識の高い同年代・同性で、専門が違うヤツと組むのが最強だということ。

 

まとめ

トランザクティブ・メモリー、覚えておいて損はないですよ。

ちなみに、入山さんの本によると「メール・電話のコミュニケーションが多いことは、むしろ事後的なトランザクティブ・メモリーの発達を妨げる」そうです。席が近いのにメールでコミュニケーションしてるのって確かにバカバカしいですよね。非効率だし、情報量が減るし。結局、面と向かって対話する機会を増やすことが良いチームをつくる効果的な方法なのです。いやーシンプル。