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【破綻:林原靖】林原 - 同族経営が破綻する最大の理由

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少し前だが、同族経営の大塚家具で経営トラブルがあった。本当に同族経営は危ういのか?

エルメスなどの海外ブランドにも同族経営は多く、トヨタも同族だ。成長を続けている企業も多い。同族経営自体は悪くはないが、そこには破綻に陥るリスクがあると考えたほうが良さそうだ。

トレハロースで有名な「林原」の当時専務だった林原 靖が、同社の破綻までのストーリーを描いた著書『破綻』。林原はなぜ破綻したのか?

本著を読むと、同族経営独特のリスクがみえてくる。

《目次》

 

同族経営だと「自覚できない」リスク

今となって、章兄が生きていれば、その後の皆の人生もかわっていただろうな、と考えてしまう。健の研究開発と章のMBAマネジメントが組み合わされれば、五十年後の破綻は果たして避けられただろうか。もし章が生きていれば経理部門も統括させられるだろうから、彼のやさしい性格からして、わたし以上に悩み苦しんだかもしれない。

これは、兄章を若いときに失って嘆く弟靖(著者)の言葉だ。これを読んで、どこか違和感を感じないだろうか。

感じるとしたら、きっとそれは兄弟で全ての部門を統括することを前提としている点に対してだ。当たり前だが、同族以外にも飛び抜けて優秀な人材がいるはずだ。当然、同族の一員よりも優秀な人材が社員の中にいる可能性は高い。同族内と社員全員では、分母がケタ違いだ。それにも関わらず、トップだけでなく全ての部門の管掌取締役を同族で占めようとは。この人は本当に反省や真摯な回顧の念で本著を書いたのだろうか、疑ってしまう。

ブランドや製品を受け継ぐ企業であれば、次の世代に優れた事業を渡すという使命がある。そのため、同族経営には「短期の利益にとらわれず、長期を見据えた大胆な経営ができる」というメリットがあるといわれている。

しかし、今生きている同族を重視するのは完全に自己中心的な考えだ。これでは社員はついてこない。長期を見据えた経営ができるといっても、長期に渡って赤字を補填する、「トレハロースが売れていたから可能なはずだ」などと堂々と書くのは倫理観のタガが外れている。

会社よりも同族を重視した自己中心的・同族中心的な経営では、「破綻」して当然である。

 

林原靖の他の本

読んでないが、この人はこれ以上何を語る必要があるのだろう。小保方さんじゃないが、タイトルからは言い訳の匂いがプンプンする。「背信」が真実だとしても、自己中心的・同族中心的な経営を続けていれば、いずれ違う理由で破綻しただろう。