引用書店

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

THE INYOSHOTEN PLUS

書評を中心に、伝えたいことをplus

【アンドロイドは人間になれるか:石黒浩】スマホの先の未来がある!

スポンサーリンク

マツコロイドで有名な人間酷似型ロボットの第一人者 石黒浩が書いた『アンドロイドは人間になれるか』、これは傑作だ。

大げさではなく、石黒さんはスマホの先の未来を創っている。彼の言葉を借りれば「未来は勝手にやってこない」。彼の頭の中には、人間とロボットが共存する社会がある。

ぼくは自分の専門分野でどのような未来を創っていけるのか?とても考えさせられる一冊だった。

《目次》

 

ロボットづくりは究極の哲学

技術開発を通して人の能力を機械に置き換えているのが人間の営みであり、その営みは「人間はすべての能力を機械に置き換えた後に、何が残るかを見ようとしている」と言いかえられる。ロボットは「人間を理解したい」という根源的欲求を満たす媒体なのだ。

「人間を理解したい」というのは、有史以来の人間の根源的欲求である。人間の特徴をとことん追求して定義し、人間を模したモノを創造するロボットづくりは究極に哲学的な行為なのだ。

石黒さんは高校生のときに「人とは何か。気持ちとは何か。考えるとはどういうことか」疑問に思い続けていた。大人になれば分かると考えていたのだが、「こいつら、全然わかっていない」と知りショックを受ける。

これを原体験に、理解しきれない人の心に「折り合い」をつけず、理解できない「社会」には出ずに大学でロボット研究にのめり込んでいく。

そしてついには「不気味の谷」現象と呼ばれる、アンドロイドの見た目や動作といった「人間らしさ」が一定以上になると違和感が生じるという壁を乗り越えるほどのリアルなアンドロイドをつくるほどになる。

彼は、人の心までもプログラミングできると真剣に語る。「心があるように見える」複雑な動きをプログラムすれば、人はロボットに心を感じるからだと。「心とは、観察する側の問題」だからだ。

 

アンドロイドの用途

アンドロイドは今後、①ゲーム、②学習・語学教育の分野でまずは広がっていく。ゆくゆくは家にひきこもってプログラミングに熱中しているような変人扱いされている人間が、他者とコミュニケーションをとる手段として遠隔操作型ロボットを使う時代が来る。これが石黒さんの考える未来だ。頭の片隅にでも入れておいてほしい。なぜなら本当に現実になりそうな予感がするからだ。

 

本の凄さ

本著を通して伝わってくるのは、石黒浩という一人の人間の「哲学」そのものだ。彼の言葉、その一言は考えに考え尽くされ、熟成された匂いを放っている。

これほどの人物の、洗練された哲学を文字で読める。改めて「本の凄さ」を思い知らされた。書評など書いてもなかなか彼の言葉の重みは伝わらない。本を実際に読んでもらうのが一番だが、本が持つ深い魅力の片鱗を少しでも伝えられたらという思いを原動力に、今日も明日も淡々と書評を書くことにする。

 

石黒浩の他の本