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【貧困女子のリアル:沢木文】30人の取材結果は男目線でどう映るか

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1976年生まれの元ファッション誌編集者の沢木文著『貧困女子のリアル』の読者は、女性が圧倒的に多いのだろう。

逆をかいて、男目線で感想を書けば新鮮なものになるかもしれない。ということで勝手に男を代表して読んで考えてみた。

《目次》

 

今どきの貧困女子の実体

30人以上の女性たちの取材で感じたことは、愛情や文化、キャリアというお金で買えないものの資源が薄いと、何かに依存して結果的に貧困になる可能性が高くなるという事実だ。

今どきの貧困女子は、お金で買えないものの資源が薄い → 何かに依存する → 貧困になるという図式で誕生するようだ。

この図式のどこかを止めなければいけない!

まず「お金で買えないものの資源が薄い」を止めれば根本的な解決になる。これは今も昔も誰もが抱える不安である。これを全く取り除くというのは難しいが、少しでも何かに幸せを感じる時期を増やすことはできるかもしれない。

どこにも生きる意味を見出せずに苦しい時期は、無理に「生きる意味」を探すのではなく、「自分の人生の中で、今これだけ悩んでいるのには必ず意味がある」という前提で「苦悩が自分に課題を出している」と発想を180度変えてみてはどうだろうか。ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』が参考になる。

【夜と霧】「生きる意味」を探してはいけない - 引用書店

 

どうしても「資源が薄い」状況が改善されない場合、貧困に陥らないためには「何かに依存する」のを止めるしかない

対策としては依存の裏返しだが、「自分のことは自分で決める」スタンスを貫き通すしかない。自分の価値観をもって流されない。精神論だが、具体的な行動は人によって違うものなので、考え方の軸を変えていくことが本質的な解決になるはずだ。

 

逃避行動に走る原因

「ストレスから消費に走った、自業自得の愚かなOL」と見下すのは簡単だ。でも、もし、自分の大切な娘さん、お姉さん、妹さん、あるいは職場の同僚や部下がこのようなタイプの貧困女子だったら?

本著は30人以上の取材で貧困女子の実体に迫っているわけだが、様々なパターンで「ストレスから消費に走った」りする女性が描かれている。

ブランドや美容に金をかける、バンドの追っかけ、1人でバーに入り浸る、人のものを盗む、そして深刻な摂食障害に陥る女性もいる。

これらの逃避行動の根本原因はストレスそのものではなく、彼女たちが発する価値観を現すことばにある

「我慢したくない」「接客はしたくない」「人間関係が苦手」「あのとき結婚していれば」「あのとき簡単に仕事をやめていなければ」などと、「あれもしたくない」「これも苦手」「こうしていれば」を繰り返す。続くセリフは決まって「だから私にはできない」だ。すり込まれた自己否定感からか?プライドがそうさせるのか?ストレス自体と付随する症状には同情するが、外からみたらアホかと断じたくなる。

自分の可能性を自ら潰していることになぜ気づかないのだろうか。彼女たちは目の前に並んでいるかもしれない希望が二度と溢れ出ないように、一つひとつ理由をつけて丁寧に扉を閉めているのだ。

 

自己責任論で見放すのは安易

このような精神的貧困の結果として経済的にも貧困に陥った貧困女子について、著者は「人生とは退屈でつまらないものかもしれないが、そのつまらなさや単調さを受け入れて、前に進むしか道はない」と締めている。

果たしてそれで良いのだろうか?希望を持てない現実に耐え続けるのが人生なのだろうか?そうではないはずだ。

希望を持つためには、まず根底にある価値観を変えなければならない。しかし、「自分の価値観を正しく持って!それができるかどうかはあなた次第だよ」という自己責任論で突き放して話を終えるのは安易過ぎる。

もし内面から考え方を変えることができないのであれば、外 → 内の順に変わっていく可能性にかけるしかない。

つまり何か「きかっけづくり」をすることだ。ただし、金はさほどかけないこと。金が入ると純粋な気持ちがそがれる。闇雲に「自分を変えたい」と捻出した金は無駄に終わるものだ。

確実に「これだ!」と納得できたモノだけに、大枚をはたく価値がある。もし内側から沸き上がってきた目標ができたのであれば、すでに違う自分になっているだろう。

さほど金をかけずに始められることとして、具体的に勧めるのであればこの2つをあげる。

  • 本を読んで考える
  • 今の自分に近い楽な友人ではない、異質な人に会う

これを読んでいる貧困女子がいれば、何でもいいから新しいことに踏み出してほしい。そのための参考に少しでもなればとおもう。

 

最後は自ら動いて解決するしかない

貧困に陥ってしまった原因は自分だけではなく、他人にもあるのかもしれない。だが貧困からの脱出に関していえば、結局最後は自分で解決するしかない。

冷たいようだが事実だ。周りからは、特にあなたと直接関係することのないぼくからは「自分の価値観をしっかり持って流されるな」「貧困を脱するきっかけをつくってくれ」という助言以外しようがない。

細いつながり、太いつながり。様々な強さで他人とつながっているが、人間は究極をいえば独りだ。最後の最後は、自分で考えて行動し、変えていくしかない。