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【ネットで進化する人類:伊藤穰一】バイオの進展はムーアの法則の5、6倍?

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伊藤穣一のことは、NHKのTEDトークを紹介するプログラム「スーパープレゼンテーション」で知った(恥ずかしながら)。

スーパープレゼンテーション|Eテレ NHKオンライン

「ジョーイ伊藤」って笑、と(恥ずかしながら)はじめはおもっていたが、MITメディアラボ所長の彼の経歴、バイオへの思い入れを知ると急転して尊敬の眼差しを向けるようになった。

《目次》

 

伊藤穣一

MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの現所長。メディアラボは、1985年にMITのニコラス・ネグロポンテとジェローム・ウィーズナーによって、コミュニケーション・テクノロジーの研究を目的に設立された研究所だ。「未来を創造する」研究所とも言われているようだ。

1984年の高校時代に半ばハックしながらインターネットをはじめて利用した。当時は本を読んで作家に直接メールしたり、論文を読んでMITの物理学の教授に直接メールしていたらしい。凄まじい高校生だ。

1994年に会社をつくった後、アメリカのプロバイダー会社の社長になり、1990〜2000年あたりのビフォア・インターネットからの過渡期を激動のなかで過ごしていく。

2000年に日本でベンチャーキャピタル、投資会社を設立し、クリエイティブ・コモンズのCEOも務める。こうした過去を経てMITメディアラボ所長になった人だ。

 

伊藤穣一がみるバイオの未来

生物学や医学といった人類が古来からテーマにしてきた生命体そのものについての研究分野と工学が融合、生命体がデジタルの世界とクロスオーバーする「デジタルバイオロジー」あるいは生命体をデザインして人工合成する「シンセティックバイオロジー(合成生物学)」によって拓かれていく未来も、もはや遠くではない。

「アフター・インターネットの時代には生命科学の発展が鍵になる」と説く著者。上記の引用部分だけでも創造をかき立てられる。

生命体と工学が融合して、人にデバイスが付いた状態が新しい「生命体」と定義されていくのかもしれない。このあたりは以前記事に書いた『魔法の世紀』の落合陽一の構想と似ている。僕自身も近い将来、脳がダイレクトにiPhoneが進化したようなデバイスとつながる未来に現実味を感じる。

【魔法の世紀】人間がコンピュータの付属品になる時代 - 引用書店

 

「生命体をデザインして人工合成する」というのは荒唐無稽のように聞こえるかもしれないが、ヒトゲノム解読の急先鋒であり続けるベンターも近い発想をもっているし、まだ研究室のレベルの簡易版で留まっているようだがガレージで遺伝子をいじるバイオハッカーなんて人たちも現れている。

【ヒトゲノムを解読した男】傲慢で破天荒な男が伝説的な業績をあげた自伝 - 引用書店

【バイオパンク】常識破りなバイオハッカーは世界を変えるのか - 引用書店

 

バイオの進展はエレクトロ二クスより速い

ムーアの法則の5、6倍のスピードで進展している

本著で引用されたハーバード大学の分子遺伝学者ジョージ・チャーチの言葉だ。チャーチ氏は人間の寿命を永久にする技術も、われわれが生きている間に実現されるという。

そこまで僕はさすがに実感できない。しかし鵜呑みにしてはいけないのだが、その道の専門家がそう語っているというのは事実である。

 

共著者

本著は伊藤氏だけでなく、以下の研究者や起業家たちも共著としてそれぞれの分野での成果を書いている。

  • スプツニ子!(MITメディアラボ)
  • ケヴィン・スラヴィン(MITメディアラボ)
  • ドミニク・チェン(起業家)
  • 藤井直敬(理化学研究所)
  • 田中浩也(慶応義塾大学)

タイトル通りバイオと情報関係の研究者がそろっている。