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【エンデュアランス号漂流記:アーネスト・シャンクトン】極地でのリーダー像

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コンサルタント山口周がまとめた「ビジネス書マンダラ」でリーダーシップに分類されていた一冊『エンデュアランス号漂流記』を読んだ。

【外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術:山口周】「イケス」に魚を放て - 引用書店

以前書いた『意思決定のための「分析の技術」』も同マンダラに載っていた本だが、結構当たり引く確率が高い気がするよ山口さんのマンダラ。

【意思決定のための「分析の技術」:後正武】知っておきたい!4つの技術 - 引用書店

《目次》

 

南極大陸初横断が当初の目的

『エンデュアランス号漂流記』は、1911年南極点をノルウェー人に先をこされ、残された南極大陸初横断はゆずれないと奮起したイギリスの探検隊の物語である。

1914年12月5日、エンデュアランス号出航。大陸横断の成否は、まず南極大陸へ上陸できるか否かにかかってくる。それほど、南極付近の流氷は創造を絶する険しさなのだ。

夏季ですら強風が吹かないため、かたまりとなって集結して散ることのない氷の壁。想像してみてほしい。われわれが地図を眺めるのとは違い、氷上の奥に大地があるのかどうかすら分からない、そんな水路を人手で氷を砕きながら進むのだ。

 

途中から「流氷漂流記」

読み進めていくと、結構序盤にサプライズがある。エンデュアランス号が沈没するのだ。

『エンデュアランス号漂流記』なのに、33ページで氷の圧力で沈没!ここから先は船員の生き残りを賭けた「流氷漂流記」になるのである。

それにしても、船を圧迫するほどの浮氷の圧は猛烈。シャンクトンの船への愛着は彼がエンデュアランス号を「彼女」と呼ぶところにあらわれている。船乗りの慣習なのか、船を女性に例えるというのは何とも洒落た表現だ。

船は彼女の人生がこれからはじまるというときに、うめき声をあげ、船材を砕かれ、傷口をあけながら、いまその生命の感覚を徐々に失おうとしているのだ。

 

極地でのリーダー像

もしわれわれが生命の損失なく、これをやりとげようとすれば、秩序だった士気、それに整然たる計画をたてる必要があった。人は、ある事態がおこったとき、古い目標をすてて、新しい目的にむかって全精力をかたむけて邁進しなければならない。

これが本著で最も重要なメッセージだろう。

タイトルからも分かるとおり、大陸横断という当初の目的は失敗に終わる。ここで「古い目標」をすてて、瞬時に「新しい目標」を立てて邁進できるかどうかが成否を分ける。シャンクトンは「大陸横断」をすて、「全員生存」に目標を切り替えた。

これはビジネスにも応用できる。錬りに錬った計画が実行段階でつまづいたとき、気持ちを切り替えて次の目標を設定できるか。一から次の目標に向けた計画を、また錬りに錬ることができるかが重要だ。

生存のためには食料が重要になるが、経験豊富な極地探検のスペシャリストであるシャンクトンは、食事の取り方も細かく指示する。全ては「全員生存」という新しい目標を達成するためだ。

アザラシの生肉をかんで生血をすすると、渇きは一時いやされることがわかったが、生肉にすこし残る塩気のために、すぐまたいっそう喉が渇いてしまうのだった。こんなわけで、生肉は時間をおいてかむか、各自がやむをえないときにだけ、そうすることを許した。

結果、シャンクトンの隊はエンデュアランス号沈没から約6ヶ月を生き抜き、全員無事に救護された。