引用書店

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

THE INYOSHOTEN PLUS

書評を中心に、伝えたいことをplus

【雇用破壊:森永卓郎】新卒フリーランスは第三の生き方に含まれるか

スポンサーリンク

森永卓郎『雇用破壊』から思う所が2点あったので、すこし毛色が違うが同じ記事にまとめる。一つはおまけとして読んでもらえれば幸いだ。

  • 格差社会での第三の生き方に新卒フリーランスは含まれるのでは?
  • おまけ:ブロガーは本を読もう!

《目次》

 

格差拡大が雇用破壊を生む

国税庁の「民間給与実態統計調査」(2014年)によると、平均年収こそ415万円だが、それは高所得者が平均を引き上げているからで、最も人数が多いのは、年収300万〜400万円の17.3%、次いで僅差で年収200万〜300万の16.9%がとなっている。もはや、年収300万円が中心なのだ。

森永さんは、このように年収300万円の時代に突入している現状を紹介した上で、格差社会が広がっていると説く。その格差の本質は会社員としての給与の差ではなく、あくせく働く労働者と株式市場でカネにカネを稼がせる資本家との差にある

格差拡大の対策として、トマ・ピケティの「富裕層に対して累進課税の富裕税を導入すべき」という打ち手は甘いとし、森永さんはこう書いている。

まず10億円以上の資産は没収して、彼らを専用病棟に隔離したうえで、芸術や文化など、お金以外にも大切なものがあることを徹底的に教育する。

10億円以上を持つと「お金中毒」になってしまうので、麻薬中毒者と同じように対処すべきだという論理だが、さすがに過激過ぎる!

 

超格差社会での3つの生き方

今後、日本の経済・社会は、これまでに経験をしたことのない超格差社会に突入していく。そのなかで、日本人は三つの選択肢のなかから生き方を選ばなくてはならなくなるだろう。①資本の奴隷になるか、②ハゲタカになるか、③貧しくともアーティストになるか、の三者択一だ。

これを読んで、最近盛り上がっている「新卒フリーランス」のことを思い浮かべた。

彼らは第一の生き方である資本の奴隷になるのがイヤで、第三の生き方「貧しくともアーティスト」を目指しているのだろうと。第二の生き方「ハゲタカ」は想定外か、実力がないから諦めたか、森永さんと同じく嫌悪すべき存在なのでなりたくないかのいずれかだろう。

なぜ新卒フリーランスをアーティストだとおもったのか?

それは、諸ブロガーたちが新卒フリーランスを口々に揶揄する姿が「アーティストになりたい!」と語る本人を何とかなだめようとする友人や家族の姿とだぶったからだ。もっとも友人や家族なら親身になるが、ブロガーは他人だから切り捨てるのだが。

フリーランスの中にもアーティストではない人たちも当然いる。しかし、実力が測りづらく弁護士や会計士といった「やること」が見えないフリーランスはやはりアーティスト然としているのだ。アートは相当売れっ子でない限り安定せず、不安が常につきまとう。

ただ、僕はというと「やりたいならやるべきだ。けど自分のためにフリーランスしてるだけじゃつまらないから、社会を少しでも良くして死んでいってくれ」とエールを送りたいスタンスだ。

森永さんは第三の生き方に「貧しくとも」という分岐点を含ませたが、貧しくないアーティストだっている。新卒フリーランスが「貧しくないアーティスト」になれない理由はない。

僕は会社に務めているが、やりたいことをやって社会を良くして死んでいきたいとおもっている。自ら進んで今の仕事をしているので森永論に当てはめるなら第一の生き方「資本の奴隷」ではなく、僕も第三の生き方「アーティスト」に分類されるのかもしれない。

 

おまけ:ブロガーは本を読もう!

いま唯一と言ってよいほど自由に物が言えるのが、書籍の世界だ。

森永さんは「はじめに」でこのように前置きした上で、雇用破壊についての持論を書き出している。確かに森永さんにとっては編集が厚めに入ってしまうテレビ番組や雑誌記事より、「本」が最も本音を言える舞台なのだろう(それにしても過激な記載が多過ぎる印象だが)。

これはブログも同じだ。ただ、ブログと本では決定的に違うところがある。

  • ブログ:不特定多数が専門分野に限らず、今起こっていることを書く
  • 本:限られた著者が専門分野について、過去のことも含めて書く

ブログが「不特定多数」によって書かれる点はメリットだ。一般人感覚というか、日々を生きる人たちの本音がタイムリーに分かる。きっと時代によって書かれることは随分違うだろう。

一方で、専門性が低い場合が多いことはブログのデメリットである。本は専門家がじっくり時間をかけてアウトプットしているので、情報の密度は格段に高い。だからこそ金をはらう価値があるのだ。時代が変わっても応用が効く古典、名著の存在も見逃せない。

今年に入って有料noteがブログ業界を騒がせているが、noteの文章コンテンツはブログの延長。専門性の低いケースが多い消耗品だ。僕は「noteなんかにつっこむ金があるなら本を買おうよ」とおもいながら眺めている。

金を払うなら断然、本だ。ブロガーはたくさん文字を読むし、自身もたくさん文字を書くのだから文字慣れしているはずだ。本を読まないのは大きな機会損失だ。