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【V字回復の経営:三枝匡】御社でも蔓延してる?マズい症状を打破する物語

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物語仕立ての経営本はいくつかあるけれど、断然お薦めしたいのが『V字回復の経営』。多額の年収で注目されるミスミグループ三枝匡の著作で、結構古い本だが何度も読み返したい名著だ。

《目次》

 

50の症状と50の要諦

本著では改善すべき50の症状と、解決法である50の要諦を挟みつつストーリーが展開していく。さらに「改革の推進者と抵抗者のパターン」や「改革9つのステップ」など著者のノートが解説として挿入されている。

 

症状の例

症状29

開発者がマーケティングや市場での勝ち負けに鈍感になっている。何が「よい商品」なのか定義が社内でずれていることに気づいていない。どの答えが正しいかは顧客が知っている。

「あるある」な事例だ。人は、とくに会社人というものは相当気をつけない限り自分の立場でしか物事を考えられない。部分最適ばかりに目がいって、全体最適を考えられていないというやつだ。

ただ単に近視眼的になるだけではない。自分が責められたくないために「うちは悪くない」と声を高らかにあげて、問題に正面から向き合わなかったり、思考を停止させてトップダウンを待つという姿勢。よく会社で見かける光景ではないだろうか?

症状50

「狭い世間」の社内で同じ考え方が伝播し、皆が似たようなことしか言わない。社外で何が起きているかにも鈍感。

これにいたっては「あるある」というか必然だ。一人ひとりは基本的に優秀でも、同じ「狭い世間」の中で毎日一緒にいるだけで、似たような価値観で凝り固まっていく。

だからこそ部署異動や転職組を入れたりするのだろうが、彼らが違う価値観を発揮できる期間には限りがある。しばらくすると良くも悪くも組織のカラーに染まっていってしまう。僕も4年前に転職したが、実感として「前の会社からの違和感」を原動力に改善提案ができた時期は1年半だけだった。

 

改革9つのステップ

『V字回復の経営』はこうしたマズい「症状」を一つひとつ打破していく痛快なオジさん物語なのだが、どう解決していくかは本著に譲る。これから読む人はお楽しみに。

かといって何も紹介しないのは忍びないので、本著で主人公が問題解決をしていく骨子となる「改革9つのステップ」だけ載せておく。

  1. 期待のシナリオ
  2. 成り行きのシナリオ
  3. 切迫感
  4. 原因分析
  5. シナリオ
  6. 決断
  7. 現場への落とし込み
  8. 実行
  9. 成果の認知

簡単に解説すると、まず自分としてはこうなってほしいという「1.期待のシナリオ」を明確にもち、このままいけば事業はどうなるかという「2.成り行きのシナリオ」と比較して「3.切迫感」を組織内で共有し、なぜこんなことになったのか「4.原因分析」をして、論理的でありストーリー性のある「5.シナリオ」を示し、プランニング段階から経営トップが密に入り込んではっきりと「6.決断」し、具体的行動の「7.現場への落とし込み」をして、「8.実行」したら微調整を加えながら何があっても継続し、最後に次の改革に進めるためのモチベーションを得るために「9.成果の認知」を忘れないという一連のステップだ。

 

三枝匡のストーリー本

もう5年ぐらいは前になるが、『V字回復の経営』にハマってから下の2冊も一気に読みきった。三枝匡のストーリー本はスマートさと泥臭さのハイブリットが気に入っている。好みはあると思うが一度手にとって試してみては。