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【シンギュラリティは近い:レイ・カーツワイル】起源と意味、答えられる?

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「シンギュラリティ」という言葉の起源、その意味を答えられるだろうか?

少し前、AlfaGOが世界最強とも言われる韓国のプロ棋士イ・セドルを負かしたことが話題になった。AlfaGOの開発者は、次はより人間的な駆け引きが問われる「ポーカー」に挑戦するのだそうだ。

人工知能(AI)のニュースと同時に語られる「シンギュラリティ」という言葉。それが2045年に起こるという予想。これらは現在GoogleでAI開発の指揮をとる未来学者レイ・カーツワイルが『シンギュラリティは近い』で書いた説からきている

原著『THE SINGURARITY IS NEAR』は2005年に出版されている。話題になったのは最近だが、今から10年以上も前にカーツワイルは特異点(シンギュラリティ)後の世界を語りだしていた

 

《目次》

 

特異点(シンギュラリティ)とは

2040年代の中盤には、1000ドルで買えるコンピューティングは10の26乗cpsに到達し、一年間に創出される知能(合計で約10の12乗ドルのコストで)は、今日の人間の全ての知能よりも約10億倍も強力になる。

ここまでくると、確かに抜本的な変化が起きる。こうした理由から、特異点 ー 人間の能力が根底から覆り変容するとき ー は、2045年に到来するとわたしは考えている。

特異点(シンギュラリティ)とは、このような定義のもとにつくられた言葉である。

つまり、「AIが一人の人間の思考能力を超える点」ではなく、「AIが創出する知能が人間全ての知能を大幅に超える点」がシンギュラリティなのだ。

 

シンギュラリティの主な原則

・パラダイム・シフト(技術革新)の起こる率が加速化している。今の時点では、10年ごとに二倍。

・情報テクノロジーの能力(コストパフォーマンス、速度、容量、帯域幅)はさらに速いペースで指数関数的に成長している。今の時点で毎年およそ二倍。

 一つの技術発展のスピードが指数関数的であることは、よく考えてみれば当たり前だ。

1001を1002にする労力が1を2にする労力と同じはずはない。1を2にする労力をかければ、1000は2000になると考える方が合理的ではないだろうか。

しかも人間をはじめ生物は頭蓋骨の大きさやニューロン間の情報伝達の速さと言うリミットがあるので成長は頭打ちするが、コンピューティングやAIは頭打ちしない

気にすべきポイントは、1つのパラダイムでは指数関数的に成長し続けられないという事実だ。生物学的な制限はないが、それとは違う未知の制限が生まれて成長が止まったら指数関数だった曲線はたちまちS字曲線になってしまう。次のパラダイムシフトが起こらない限り、再び指数関数的な成長をすることはできないのだ。

もっとも、この厄介なパラダイムシフトの発生率も見越して、カーツワイルは全体的にみても「指数関数的」に技術が発展していくと予想している。

カーツワイルの予想が確定的かどうかは僕の専門性では判断できない。しかし少なくとも「革新」の発生はそう簡単に予想して当てられるものではなさそうなので、どうしても疑問は残る。

 

バイオテクノロジーの技術革新

ハーバード大学の分子遺伝学者ジョージ・チャーチによると、バイオテクノロジーは「ムーアの法則の5、6倍のスピードで進展している」のだそうだ。

【ネットで進化する人類:伊藤穰一】バイオの進展はムーアの法則の5、6倍? - 引用書店

何を指標にしているかが分からない以上は意味が理解できないというのが今までの印象であったが、カーツワイルの『シンギュラリティは近い』を読んで、パラダイムシフトも含めたS字曲線が切り替わる速さが指数関数的という論理であれば理解できると考え直した。

ただし、測定する指標が固定されている一つのパラダイムよりは、全体としての技術革新の速さの予想は不確実性が高く、主観が入りやすいのは確かだ。

 

シンギュラリティ後の新しい世界

特異点に到達すれば、われわれの生物的な身体と脳が抱える限界を超えることが可能になり、運命を超えた力を手にすることになる。 死という宿命も思うままにでき、好きなだけ長く生きることができるだろう(永遠に生きるというのとは、微妙に意味合いが違う)

シンギュラリティと聞くと、人類滅亡といったカタストロフィ的なイメージを抱く人が多いのではないだろうか。

カーツワイルの言説では、人間が機械に支配されて滅びるわけではない。「人間」という定義が生命体を超えていくだけだ。既に、手にひらに収まるコンピュータであるスマホは、僕の脳の一部になりかけている気がする。より小さく、ウェアラブルで脳に直接つながるデバイスになれば、もはやデバイスを含めた人間が「自分」と定義される世界になるだろう。そのときは2045年を待たず、あと10年以内には到来する気がしている。

 

落合陽一『魔法の世紀』

『魔法の世紀』の落合陽一もカーツワイルと同じポリシーのもとに立っている。書籍としては『魔法の世紀』の方が読みやすく、自身の最新の研究も含めた現時点の展望が書かれている。

【魔法の世紀:落合陽一】人間がコンピュータの付属品になる時代 - 引用書店