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【幸福論:須藤元気】四国を旅し、本を多読するきっかけになった一冊

哲学 哲学-宗教
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特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

 

青春の一冊といえば須藤元気『幸福論』、この本を僕はあげる。

《目次》

 

須藤元気が四国八十八カ所めぐりをする本

お遍路でかぶる菅笠には弥勒菩薩を表す梵字と同行二人の文字そして、この言葉が書かれている。

迷故三界城

悟故十方空

本来無東西

何処有南北

【迷いがあるから壁に囲まれ自分のものに執着するが、悟りを開けばすべて十方は空だ(くう)だ。もともと東も西もない。どこに南や北があるというのか

僕は須藤元気のファンだった。彼のトリッキーに虚をつくファイティングスタイル(後に怖かっただけなのだと分かる)だけでなく、 試合に勝ったときに旗に掲げる「WE ARE ALL ONE」という言葉も気に入っていた。

「すべては一つ」。他者など存在せず、すべて自分と関係するものであり、それらは究極には一つだ。そう考えれば個人の規模では変に周りに気を遣ったり相手を傷つけずにすむし、世界の規模では戦争なんてありえないことになる。

ともかく、須藤ファンだった僕は学生のときにこの1冊を手に取った。須藤元気が四国八十八カ所めぐりをしながら自分をみつめなおす本だった。

 

「青春の一冊」たる理由1

当時関東在住だった僕は、就活のため新幹線で関西に向かっていた。就活は「会社分析」に加えて「自己分析」が必須だといわれる。

すでに30社以上受けて、ほとんどエントリーシートすら通らず、やっと呼ばれた面接。

「自分をみつめなおす」という慣れない作業をしていた僕は、ずっと好きだった須藤元気の『幸福論』を買って新幹線で読んだ。そして、関西の会社での面接が終わったら「四国に行こう」と決めた。

結果、僕は就活を終えることができた。あとで面接官に聞いたら、3000人が受けて通ったのは10人だということだった。ここで僕は「倍率とか数字は関係ないんだな。自分にとってはイチかゼロのどちらかしかなく、自分がイチになりさえすれば良い。そして適切に準備を整えればイチになれるのだ」という実存主義的な考え方に目覚めた。

真実は外ではなく、自分の中にある。空海的な考え方といえなくもない。

それまで僕は自分自身を信じられず、80%以上実現できるだろうなという選択肢を選んできた。安定で確実な人生を送っていた僕だが、「四国の旅と就活の終わり」をきっかけに急にチャレンジングな人生をおくることになる。おかげで今はせっかく就職した外資系企業を辞めてベンチャーにいる。

ちなみにだが、就活のついでに1泊2日で四国を旅したので八十八カ所のうち三カ所しか寺はめぐれなかった。人生観が変わるとか言われる八十八カ所めぐりだが、少しめぐっただけでも効果はあるのかもしれない。

 

「青春の一冊」たる理由2

「言霊」という言葉があるように、言葉には力があり、言葉というのはエネルギー体である。そして、アインシュタインの物理法則である、

E=mc2(エネルギー=物質x光の速さの二乗)

という公式を考えると、エネルギーと物質はイコールの関係にあるし、言葉がエネルギー体であるならば、言葉を声にして出すことで、それが物質化するのではないか。

須藤元気は、格闘家でありながら妙に教養が深い。当時はこの相対性理論と言霊を関連づける発想など本著に散りばめられた数々のアナロジーに感銘をうけたものだ。

それまで本を全然読んでなかった僕は、このとき以来、急に本を読むようになった。須藤元気のようになりたかった。

今では本を読むモチベーションは全く違うところにあるが、多読の習慣がついたのは間違いなく『幸福論』がきっかけだ。ありがとう、須藤元気。

 

青春とは

人は子供のころ夢中になったことに、大人になってもハマる。それを仕事にすると大成するといわれる。

青春とは、あとから振り返ると「痛いな〜自分」とゾワっとした感覚を背筋に覚えるものであるが、そこに将来自分が向かうべき方向のヒントがあるのかもしれない。