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【あなたの話はなぜ「通じない」のか:山田ズーニー】伝わる基本5つと習慣2つ

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小論文講師のキャリアが長い編集者山田ズーニー著『あなたの話はなぜ「通じない」のか』。

ビジネスでの会話や文書作成に活かしたい人を主な対象にしているが、ブロガーの面々も騙されたとおもって読んだ方がいい

《目次》

 

話が伝わる5つの基本

1.自分のメディア力を上げる

言葉だけだと知名度さえ上げればいいという意識高い系なイメージだが、そうではない。個人的にはあまり好きになれない考え方なのだが、人は「何を言うかより、だれが言うか」を重視する。「あなたが言うのならそうだろう」と信じてもらえる信頼感を相手にもってもらうことが、本著で語られる基本の1つ目。

2.相手にとっての意味を考える

プレゼンするとき、その話題に対して聴衆がどれほど詳しいか知らなければ、効果的に情報を伝えることもアクションを促すこともできない。「相手はどんな人だろう?」と話の構成を考える前に必ず自問しよう。

3.自分が一番言いたいことをはっきりさせる

3つ目は「一番」言いたいことは何か?決めること。伝えたいことが色々あるだろうが、枝葉の情報やストーリーに時間を割き過ぎて「一番」伝えたいことが伝わらなければ本末転倒だ。

4.意見の理由を説明する

僕自身はこれを最も気をつけているな、と本著を読んで再認識した。理由がなければ意見は活きない。意見と理由はセットで語られてはじめて伝わるものなので、意見だけでは片手落ちの状態だ。さらに踏み込むと、意見に添える「理由」は自分側、相手側、あるいは普遍的な側面から構築していくと、自分勝手な妄想にならず、「意見」が通りやすいと著者は書いている。

5.自分の根っこの想いにうそをつかない

うそは、本当の意味で人を動かさない。人はそれほど愚かではない。

そうは言っても「伝わる技術」のようなテクニックに偏重しすぎて、思ってもいないことを語ってはダメだ。本著には著者が身をもって体験したエピソードが添えてある。

 

話が伝わる習慣1: 「問い」で論点を絞る

例えば、「本当のことをしゃべるよりも、私はウソをつく方が恥ずかしい。ウソをついているほうが、本当の自分が出るから」(米原万里「言葉の戦争と平和」より要旨抜粋)という意見に目が留まったとしたら、その裏に、「ウソは本心を隠すものと思われているが、本当か?」「本当とウソ、どちらを言うときが、より本当の自分が出るか?」という筆者の問題意識が読み取れる。読んでいて目が留まる意見は、必ず裏に良い「問い」を持っている。

文章を書いたり人に話を伝えるとき、裏に「問い」がないと話がぼやける。

自分が発信する立場ではなく、受け取る立場のときも「問い」を意識すると本質が見えやすい。文章を読むとき、「この人はなぜこの文章を書いたのか?書きたいと思ったのか?」という「問い」をまず投げかけるように僕もしている。

論文や日経新聞とか信頼性のある記事でも不備や不足はあるし、著者の主張が正しいとは限らない。自分と同じ人間が書いているということを念頭に入れてすべての創作物にふれるべきだ。

受験や資格試験でも同じで、出題者の「問い」を見切りさえすれば正解したも同然だ。漫画『ドラゴン桜』では出題者の意図を読み取れるようになるために生徒に数学の問題をつくらせるというエピソードがあったが、これは的を射ている。

そして「問い」で論点を絞る習慣は、ブロガーがブログネタを考えるときにも使える。「何を書こうかな?」と迷ったら、身の回りや社会で今起こっていることを見渡して自分の能力で書ける「問い」がないか考えるところからはじめてみてはどうだろうか

 

話が伝わる習慣2:「決め」でスタンスを明示する

「決め」がないほど、話は意味がなく、そして、あたりさわりのないものになる。一方、自分なりの「決め」を打ち出せば打ち出すほど、その話は、意味を持つ可能性と、あたりさわりが出てくる可能性の両方が出てくる。

「問い」で論点を絞ったあと、重要になるのが「決め」だ。「決め」とは自分独自の洞察をピンポイントに絞って、スタンスを明確にすることだ。

スタンスをはっきりさせると賛否両論で批判も出てくるが、逆にあたりさわりのないことを言えば何となく共感は得られやすい代わりに話がつまらなくなる。

個人的には飲み会などで繰り広げられるあたりさわりのない雑談ほどつまらないものはないので、あれは止めてほしい。本著によると「うんうん」という何となくの共感をみんな求めているそうだが、少なくとも僕はその「みんな」を構成する1人ではない。

ブログに関して言えば、読まれるのは圧倒的に「決め」がはっきりした記事だ。これにはどのブロガー諸氏も異論はないだろう。

この観点でいえば書評ブログというタイプも災いしてか、僕は「決め」不足であたりさわりのない記事に落ち着きがちなので要改善だ。書評の場合は、割と極端な「決め」を書いても「著者がそう書いているんだから自分のせいじゃないし!」という逃げ道もあるし(体験済み)。

読まれる記事を目指すならネタのジャンルが何であっても自分独自の「決め」でスタンスをはっきり示すことが最重要だ。

 

おまけ:名詞と動詞で語る

「決め」を鮮やかにみせるためには名詞と動詞で語ることだ。

本著でも少しふれられているが「きれい」とか「とことん」などの形容詞や副詞は人によって尺度が変わってくる言葉なので主張が曖昧になり、文章の力を削いでしまう。

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