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【世界標準のNEMAWASHIの技術:新将命】日本流「根回し」との合わせ技が最強!

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コカ・コーラ、シェル石油、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの外資系企業で日本支社長を含めたキャリアを積んできた新将命。

本国の外国人トップとの豊富な経験をもとに書かれた『世界標準のNEMAWASHIの技術』 は、日本流「根回し」と世界標準の「NEMAWASHI」の共通項と違い、活用のコツが分かる一冊だ。

《目次》

 

世界標準の「NEMAWASHI」

英語では、事前の準備や下調べのことをホームワーク(Homework)といいます。公式の活動ではありませんが、結果がうまくいくかいかないかはホームワーク次第。まさに、「ネマワシ」はホームワークの重要な要素、欠くべからざる要素と言えます。

根回しは日本独特の風習のように思われがちだが、欧米でも意思決定の非常に重要なウエイトを占めている。日本は集団主義でムラ社会的、欧米は個人主義で狩猟文化という違いはあるが、事前のネゴが重要なことは考えてみれば当然のことだろう。

本著では日本流は「根回し」、世界標準(欧米流)は「NEMAWASHI」または「ネマワシ」と表記され、区別して語られる。

 

バッドニュース・ファースト(悪い知らせは早く知らせろ)

緊急事態の対応ほど迅速なNEMAWASHIをするべきなのです。

まずは日本流「根回し」との共通項としてバッドニュース・ファースト(悪い知らせは早く知らせろ)を取り上げる。

著者は金曜にトラブルがあったとき、上司が外出して戻らないため「上司を煩わせるより、とりあえずの善後策を施した後、月曜にまとめて報告すればいい」と考えて、上司にトラブルの報告をすぐしなかった。

リカバリーショットをうまく打って、意気揚々と経緯を報告したところ、こう言われたそうだ。

「言わなかったということはなにか、もっとよからぬことを隠しているとも疑える。この処置だって、何か不正な手段えやったのではないかと疑われても仕方がない。」

これ、結構やってしまいがちではないだろうか?僕は同じような事例でヒヤっとした経験が何度かある。

「何言ってんだコイツ。うまくリカバリーしただろうが(怒)」と最初は反発するのだが、かなり後になって後悔するパターンだ。日本でもそうだが、上司の耳に悪い知らせをいれておくことは世界標準でもあるのだ。

 

日本流「根回し」との違い

日本的根回しが、ネゴシエーションではなく人間関係づくり、義理人情の貸し借りばかりに力を注いでいるため、厳しい「根回し」の積み重ねも肝心の交渉力の強化に結びついていないのではないでしょうか。

外交で日本人が苦戦する理由がこれだろう。

日本人はロビイスト的なネゴシエーションができずに「論理」ではなく「情」、つまり人間関係づくりに頼らざるを得ない。かといって外交の意思決定に関わる人物と人間関係を即座につくるのは、交渉先からしたら外国人である日本人にとっては難しい。

「何を言ったか」ではなく「誰が言ったか」が重視されるのは日本的価値観であり、世界標準ではないのだ。

では、どうしたらいいのか?NEMAWASHIのコツとして、マーケティングの「AIDMA」を応用するという方法が本著で語られている。これは即効性がありそうなので、紹介する。

  • Attention:まずNEMAWASHIの相手にアイデアを知ってもらう
  • Interset:「これはなんだ?」と興味をもってもらう
  • Desire:「それいいな。やってみれば!」という気持ちを持たせる
  • Memory:記憶にとどめてもらい、仲間になってもらう
  • Action:社内の抵抗勢力を説得してもらう

コツは、最初の「Attention」で強烈に説得はせずに、アイデアを知ってもらうことだけに徹すること。いきなり説得は反対されるリスクがあるので、まずは知ってもらい、その後に段階を踏んで好感をもってもらうことだ。

 

合わせ技が最強

気をつけてほしいのは日本流「根回し」がダメで、世界標準の「NEMAWASHI」が良いと言っているわけではない。根回しではビジネスでのネゴシエーションに不足があるので、NEMAWASHIも身につけて複合技でいくべきだ。

根回しをバカにする気持ちもわかるが、僕たちの土俵はどこだろう?日本で日本人相手に自分のアイデアを通したいなら、情による根回しの重要性も認めた方が合理的だ。根回しとNEMAWASHIの合わせ技こそが最強なのだ。