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『遅読家のための読書術』を15分で速読してみた

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『遅読家のための読書術』著者の印南敦史さんは、書評家として月60本近くのブックレビュー記事をさまざまな情報サイトに寄稿している方だ。

ということは、1ヶ月に60冊以上の本を読んでいる計算になる。これまで読んだ本の蓄積も相当あるだろうから、60冊分の書評を書いているからといって1ヶ月に60冊も読んでいるということはまずないのだが。

ともかく今でこそ読書数が半端ではない印南さんなのだが、以前はけっこうな遅読家だったそうだ。で、自分が遅読家から脱却したコツを、この本で書いているというわけ。

このような「速読」をテーマにした本を読むとき、僕は「速読術の本を速読しなくてどうする!」という、あまのじゃく的なポリシーであたることにしている。本著も15分で読み終えた。いやいや、速く読むコツを書いた本なんだから、じっくり読んで、次の本から速読すればいいじゃないかと思っちゃう人、それは甘い!

本著にも書かれていることだが、本から拾えるメッセージなんて限られていて、さらに「速読術」がテーマなのであれば伝えたいメッセージのボリュームは少ないはずである。科学や経済の専門家が書いたノンフィクションとは違って、理解しづらい部分もほぼないはずだ。なので結論をいえば、あなたも速読術の本から速読をはじめるべきなのである。

《目次》

 

無理して頑張る速読術とは違う

僕がこれから語る読書術というのは、「眼球運動のトレーニング」とか「高速ページめくり」といった、いわゆる「速読術」っぽいネタとはかなりノリが異なります。 

この考え方、賛成です。だってフォトリーディングとかテクニック偏重の速読術って怪しくないですか?

はっきり言って、専門家が書いた本をフォトリーディングで軽く読むなんて、できるわけがない。できるとしたら、最初から読む題材を知っている、その専門分野でもトップ中のトップレベルの専門家だけのはずだ。かたや小説は、フォトリーディングとかで速く読む必要性もない。ゆっくり読んでストーリーを楽しむことが目的だろうから、そもそも速く読む必要がないのだ。

結局、フォトリーディングできるのは著者が伝えたいメッセージが限られるノンフィクションのみという話になる。それであれば、眼の動きとかのテクニックよりも頭で自分が欲しい情報をソートした方が効率は良いはずである。大事な部分が出てきたのにサッととばしてしまったら、それこそ何のために本を読んでいるのかわからない。

 

「割り切り」の読書が正解

読書の本当の価値は、書かれていることの「100%を写しとる」ことではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」ことにあります。

この本で出会うべき1%が、まさにこれだ。速読のコツは、じっくり読んで書かれていることを全て漏らさず頭に入れるなんて無理だと割り切ることである。今の自分が必要な、出会うべき部分のみ吸収できればいいのだ。そのためには、今探したい「キーワード」を意識しながらページをめくっていけば良い。シンプルな話である。

ゆっくりじっくり読んだってどうせ忘れる。それなら、たくさんの本を読んだ方が得だ。印南さんは、「たくさんの本から小さなかけらを集めて、大きなかたまりをつくっていく」「音楽を聴くように」という表現で説明している。この喩えはわかりやすい。

そして速く読むのであれば「1日で1冊読み切る」こと。これも大賛成。いったんストップすると、再開するときに脳を前読んでいたときの状態に戻さなければいけないので、どうも負担がかかって気持ち悪いし非効率だ。

 

9対1の法則

「速く読める本」が9割、「速く読む必要がない本」が1割の比率。

本を大きく3つに分けると「①そもそも読まなくていい本」「②速く読む必要がない本」「③速く読める本」があると印南さんは書いている。

①は論外。そりゃ読まなくてよい本はそもそも読まなくていいだろう。当たり前だ。②は、科学や経済などの専門の本や、小説のことだ。あとは③だと思って速読する!

読むスピードや精緻さで本を分類して読み方を変える考え方については、佐藤優さんが書いた『読書の技法』がより詳しい。僕はこちらをかなり参考にして読書している。

inyoshoten.hatenablog.com

 

グロービス経営大学院学長 堀義人も乱読派

ちょうど6月29日の日経電子版に『乱読のススメ 理論的支柱を作るための近道』というグロービス経営大学院学長 堀さんが書いた記事が載っていた。

堀さんは、知りたいテーマにぶつかると、関連分野の本を5〜10冊、時には20冊買って、ひたすら読みあさるそうだ。これは短期間で顧客と対話できるレベルまで知識を詰め込む、まさにコンサル的な読書法だと言えそうだ。

この読み方はプライベートの読書でも有効で、実際に堀さんは「なぜ優秀な人がオウム真理教でだまされたのか?」「どういう子育てが良いのか?」といったビジネスに関係しないテーマ設定でも同じような乱読をしているそう。

印南さんの言わんとしている「音楽を聴くように本を読む」と同質の考え方であり、乱読は読書の王道だと僕も思う。5〜10冊はハードルが高いという人は、せめて3冊ぐらい一気に買って、休日に1日でざっと読むという読書をしてみてはどうだろうか。